2022年の展示会に出展した徘徊老人の見守りグッズです。
名前は「PALDOG」と言います。

犬のぬいぐるみの前ポケットにスマートフォンが入っていて、専用アプリが常に起動状態になっているというものです。このぬいぐるみは玄関のドアにぶら下げてあり、近接センサーにて人が近寄ることを認識できます。一般に販売されている介護・福祉・見守り等のアイテムは、それが使われる前提のものがほとんどですが、実際には自主的に使う場面が少ない状況と言えます。
たとえばセンサー付きの靴であったり、身に付ける監視用のグッズがあるとして、使用する人が必ずそれを履いたり身に付けたりする保証はないのです。
「PALDOG」のメインテーマは”導き“です。使用する人に高い確率で使ってもらえるように「PALDOG」本体が導いてあげるというものです。使うターゲットは、動物好き(特に犬好き)だが飼えない環境にいる一人暮らしのお年寄り、徘徊癖のあるお年寄り(認知症のお年寄り)です。
「PALDOG」は通常玄関のドアに掛けられていて、外に出ようとお年寄りがドアに近づくと近接センサーが反応して“散歩に行くなら一緒に連れていって!”と呼びかけます。この呼びかけで重要なのが、必ず相手の名前を呼んであげる事。アプリには使う予定の人の名前を登録しておきます。展示品では相手の名前を仮に“さっちゃん”という設定でアプリを作っています。
“さっちゃん、散歩に行くなら一緒に連れていって!”この呼びかけに当の本人が反応し、「PALDOG」を身に付け散歩に出かけたら、第一弾の“導き”は成功です。
「PALDOG」は紐を首に掛けてぶら下げられるようになっています。愛犬との散歩であり、会話も出来るという設定になっています。「PALDOG」は一定間隔で話しかけます。それに対して使用者が答えるというものです。(相手の答える内容に反応して次の発言をするものではありません。今どきのAI機能は入っていません。会話の主導権はPALDOGにあり、あらかじめ登録された会話の内容を発信するという仕様です。)
あらかじめ設定した時間散歩したら“さっちゃん、そろそろ帰る時間だね”と伝えます。これが第二弾の“導き”で、帰宅するように促すのです。それに反応して帰宅の途に就けば成功です。そして帰宅中も定期的に話しかけます。
最後、第三弾の”導き“としては、無事に帰宅時、“さっちゃん楽しかったね。また連れて行ってね”と伝えます。この言葉でお散歩に出掛けるときはいつも「PALDOG」と一緒という事を記憶の中に残すことが出来たらという考えからです。
散歩終了後は玄関のドアのフックに「PALDOG」を引っかけて終わりです。(万が一自力でドアのフックの掛けられなくても家族の誰かが掛ければ次につながります。)
万が一迷子になったとしてもGPSで管理されているので、保護が可能となっています。
という具合に、使ってもらえるような”導き”の機能が備わると、使って貰える確率は高くなると考え作りました。

一人暮らしの老人の家族(ワンちゃん)、徘徊する老人の仲良し(ワンちゃん)、そんな存在が「PALDOG」なのです。
※PALはお友達の意味ですよ。