社長就任の年に展示会出展を始めたが、実は前年に出展の決意を固めていた。
2008年、同業者の株式会社グレープシステムの当時社長であった小原さんのところに情報交換に以下がっていた。組込みシステムとプリンター開発の専門集団(株)グレープシステム
当時私は取締役システム部長という役職にいた。当時社長の神尾に同行して情報交換に伺ったのだが、グレープシステムさんのオフィスに到着した時に、社員の方々が機材を持ち出しているところに遭遇したのだ。
”あの方々はどこに行かれるのですか?”何の気なしにそう質問すると、”明日からパシフィコ横浜で開催されるET展に出展するのでその搬入ですよ”笑顔でそう話された。
その時の衝撃を今も忘れない。『弊社とさほど変わらないサイズの企業が展示会に出展しているのか!』グレープシステムさんに嫉妬すら感じた。その時の情報交換の内容は覚えていない。
『必ずハルも同じ土俵に上がるからな!』そういう気持ちでいっぱいになっていた。
その翌年私は社長に就任し、60名の社員のうち20名ちょいの社員が仕事を失い社内に戻ってきた。そして偶然にもIDEC(公益財団法人 横浜企業経営支援財団)さんからET展に出展しないか?と打診を受けたので、二つ返事で参加の意思表示をした。
出展品など何も決まっていなかったが、いつもながら、まずは走り始めよう。走りながら決めて行こう。必ずなんとかなるさ。無茶?無謀?無為無策?楽観主義?ポジティブ思考?・・いやいや我が性格なり。
まあさしずめ、「この道を行けばどうなるものか、危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし、踏み出せばその一歩が道となる、迷わずゆけよ、ゆけばわかる。 」by 一休宗純 こういう感じで行動してます。^^
出展が決まるととにかく出展品の大枠を決め、チーム編成をし、展示会に間に合うように「要件定義」「設計」「プログラミング」「テスト」という工程をこなして完成にこぎつけた。「みんなよくやったよね(笑)」

このアミューズメント・携帯ゲームは、その当時、iPhoneなるスマホが世の中に出てきて、Android系スマホも台湾のHTC社が開発発売したHT-03Aのみが世の中に存在した時代に、その年の新入社員が、”ハルはスマホアプリは作らないんですか?”と発言したのに対して、”やるよ!”と答えたのが開発を始めたきっかけです。(実は新人の彼がその発言をする瞬間までスマホアプリを作るなど思ったこともなかったのですが・・つい、やるよ!と言ってしまいました。^^;)

iPhneOTDRリモート制御に関しては、横河計測株式会社さんの光測定器のソフトウェア開発を長年お手伝いさせて頂いた関係で思いついたアプリケーションです。測定器の画面をどうにかスマホの画面で表示してリモートで制御出来ないかと思って実際にやってみたら出来ちゃったというものです。開発にあたって横河計測さんが無償で計測機器を貸して下さったことに感謝の気持ちで一杯でした。

テレビ会議システムをやろうと思ったきっかけは、某メーカーのテレビ会議システムを業務でやっていた社員が弊社にいた事と、当時の日経新聞にTMDXEVM365評価モジュールが発売されたという記事を目にして、知り合いの日本TI(テキサス・インスツルメンツ)社の営業に電話をかけ、評価モジュールは新聞に掲載されたばかりで日本に3つしかないと言われたところを強引に2つ購入して(この時は本当に怖いものなしで半ば強引な動きをして欲しいものを手に入れてた感じです)、見事にテレビ会議システムデモ版を作り上げました。他社が手掛けていなかったこともあって、展示会後様々なメーカーの技術屋さんが弊社に来られて改めて披露させて頂きました。結果その出来に大好評でしたね。

音声認識システムに関しても、某メーカーさんのシステム開発に携わったことがあった関係で、このシステムに関しては旭化成さんに打診して音声認識エンジンを特別に期間限定で使わせて頂いて、通信販売オーダーエントリーデモシステムを作りました。システムを実現するために使えそうなエンジン等を探し、直接メーカーさんに交渉してました。

最後にウェブデータベースシステムになります。デモシステムの説明にもありますが、勤務実績管理システムなるものを作りました。携帯端末のウェブブラウザーから勤務実績の管理が出来るというものですね。
今思うと、世の中にハルの技術力を発信するのが目的と言えど、かなり欲張って開発したなと思いました。技術者たちには感謝感謝の気持ちでいっぱいでした。
ここからハルの新たな一歩が始まったのです。
我々は長年大手メーカーさんのものづくりに参画してきました。リーマンショックの後遺症で弊社が窮地に陥った時、培った技術を使い、自分たちの頭で考え行動し、独自のものづくりを行い、世の中に発信するという行動を起こした記念すべき年でした。
ただ、この企業文化は、2009年が元年ではなく、ハル・エンジニアリング株式会社が創業した当初からのものなのです。