脇役を主役にした日。未来図が呼吸を始めた

今日は午前中、会社にいた。
年度末の挨拶で来社された2社の対応と、進行中のアプリについての進捗確認、今後の打ち合わせ。

年度末ということもあり、実に濃厚な情報交換ができた。
来年に向けて取り組むべき課題もいくつか見えてきたし、
それとは別に、自分自身でやりたいことも次々と浮かんでくる。

老いている場合じゃないな、と思う。

午後になって、自分がほぼ一人で進めてきたプロジェクトに戻る。
試作版として必要としていたパーツが、今日すべて揃った。

カードやストラップ、細かな部品を一通り組み上げ、
実際に手に取って眺めてみると、案の定いくつもの改良点が頭に浮かんできた。

「ここはこうした方がいい」
「ここはまだ詰められる」

ものづくりをしていれば、ごく自然な反応だ。

ただ、今日はそこで手を止めた。

これ以上手を入れてしまうと、
それは“親切”ではなく、“と余計なお世話”になりそうな気がした。

ガチガチに完成度を高めた試作品を目指すより、
使う側それぞれが考え、工夫できる余地を残した方がいい。
そう思えたからだ。

無くても困らない。
でも、あったことで助かる人がぽろぽろと現れるかもしれない。
そのくらいの距離感に留めておく。

結果として、
この試作品は「とりあえずここまで」で完成とした。

このプロジェクトを始めた頃、
頭の中にあったのは 主役と脇役がはっきり分かれた世界だった。

何が正解か。
どう使ってもらうか。
どう伝えるか。

そうしたことばかりを考えていた。

ところが、試作と検証を重ねる中で、
ある日ふと視点がひっくり返った。

脇役だと思っていた存在を、主役として捉え直してみたらどうだろうか。

そう考えた瞬間、
それまで霧がかかっていた未来図が、急に輪郭を持ち始めた。

説明が楽になり、
無理が消え、
「正解を作る」ことから解放された。

がちがちの完成品を作ってしまうと、
それが最高だと勘違いして、
人の意見を聞く耳を失ってしまうことがある。

今の自分は、そこに立ちたくない。

これまでやってきたことを
ひっくり返すほど素晴らしい意見が出てきたなら、
素直に受け入れて、最初からやり直せばいい。

修正も、手直しも、出直しも、
すべてものづくりの一部だ。

低コストでのチャレンジができたことも、
今回あらためて良かったと思っている。

気軽に試せる。
壊れても痛くない。
改良を恐れずにいられる。

完成させなかったからこそ、
このプロジェクトは止まらず、
未来図は呼吸を始めた。

今日は、そんな一日だった。

kimamana-jiyujin-1957

創業49期目、横浜のIT企業ハル・エンジニアリング株式会社、代表取締役会長の平田達彦です。2025年3月末まで社長、4月より会長となりました。ブログにて色々な情報を発信させて頂きます。「自由人として愉しむ」を基本に生きています。多くの人たちと絡んでいきたいと考えていますのでどうぞよろしくお願いいたします。愉しい人と人のネットワークの構築と愉しいものづくりを目指します。

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