過去の開発製品のご紹介。「ADAMSファミリー」
残念なことに、当時の主力製品であった ADAMS-2000 は、現在、弊社には実機が残っていません。
一方で、幸運なことに AC-50「かけまくリン」と AC-500 「インテリジェントオートコーラー」は現存しています。

これらは固定資産として登録されていたため、処分を見送り、結果として今も手元に残っているものです。
主力であったADAMS-2000が残っていないという事実も、当時それが「現役で使われ、役目を終えていった製品」であったことを物語っているのかもしれません。
私自身は、この ADAMSファミリー の開発に直接携わっていたわけではありません。
当時私は、社内でメーカー向け製品の開発を担当していました。
しかし、社内で日常的に開発の様子を目にしていたため、まるで自分もその開発に参加しているのではないかと錯覚するほど、至近距離でその状況を見ていました。
中でも主力製品であった ADAMS-2000 は、他の機種と比べても多種多様な機能が盛り込まれており、その分、開発は難航していたように記憶しています。
課題が出るたびに、次々と開発者が投入され、試行錯誤が繰り返されていました。
ある時期、
「この機器は完成しないのではないか」
という不安が頭をよぎったことがあります。
これだけ多くの人間を開発に投入すれば、外で稼ぐ人間の物理的な数は減り、売り上げも当然ながら落ちていきます。
社内の状況は、正直かなりまずいと感じていました。
新しい技術を前に、経験値が不足していたがゆえに陥った状態だったのだと思います。
しかし、この状況を打破する方法は、実は一つしかありませんでした。
それは、
ADAMS-2000を見事に完成させ、
投じた負債を超える売り上げを上げること。
「ハルは逃げない。」
その言葉どおり、ついにADAMS-2000は完成し、結果として開発費と売り上げがトントンになるところまで持ち直しました。
中小企業が自前の製品を作るリスクは、実際にやった企業でなければ決してわかりません。
それは、想像をはるかに超えるリスクです。
乱暴な言い方をすれば、
失敗はイコール倒産につながる。
それほどの重さを持っています。
もちろん、倒産する気など微塵もありません。
そして、チャレンジをやめる気も、微塵もありません。
ハルという企業が存在する意味は何なのか。
大手メーカーの開発に参画し、そこで利益を上げて生きていくこと。
それは企業が存続するうえで、もちろん重要なことです。
しかし――
それだけで良いのか?
ハルという看板を掲げ、この会社が存在する意味、価値は、それだけなのか。
違う。
ハルは、自主独立の立場で
「未来への挑戦」をする企業でなければならない。
ADAMS-2000の開発は苦しかった。
正直、厳しかった。
しかし、やり遂げました。
少々話は脱線しますが、その後の別案件においても、ハルは次々と人を投入し、果敢にチャレンジし、そして決して逃げませんでした。
それこそが、ハルという企業の姿なのだと思っています。
以前、AC-50(通称:かけまくリン)は、もう今の時代には使われていないだろうと思っていました。
ところが、何十年ぶりかに一本の電話が入りました。
「使っているAC-50が故障したのですが、何とかなりますか?」
10年使っていただければ十分ありがたい話です。
しかし、そのユーザーさんは、それを倍以上の年月、大切に使い続けてくださっていました。
私は、自社に在庫として残っていた機器と、故障した機器を無償で交換することにしました。
ものづくりは、作りっぱなしではいけない。
使っていただくお客様がいる以上、納得して使い続けていただくことが大切です。
今朝、この出来事を改めて思い返しながら、「ああ、まさにこのことだな」と感じました。
ADAMSファミリーの開発を振り返りながら、
私は改めて、ハルという企業の精神を感じることができました。
