趣味は映画鑑賞の筈なのに随分ご無沙汰だった。そして本日久々に鑑賞してきました。『木の上の軍隊』

「えっ、『鬼滅の刃』の話かと思った?」(;´Д`)
──いやいや、世の中が盛り上がっている方向とは、あえて逆を行くのが私のスタイルです。
(観たらたぶんハマるんでしょうけどね・・家族2人がどっぷりハマっていますからね・・ボソッ)
展示会などでも同じことが言えます。
大手企業の華やかなブースより、私は人通りの少ない、小さなブースを巡るのが好きです。
名前も知らないような企業の中に、思いがけない”発掘”があるんですよ。宝探しみたいなもんですね。
今回、私が足を運んだのは──
そんな”宝探し”の延長のような、ある意味で静かで重たい映画『木の上の軍隊』。
一方で『鬼滅の刃』は全国の劇場を巻き込んで超満員。
こちらは、1日たった3回、小さな劇場でのひっそりとした上映でした。
(この言い方、営業妨害にならないといいんですけどね・・(;´Д`))
『木の上の軍隊』とは?
舞台は沖縄の伊江島。
1945年、太平洋戦争末期──激しい米軍との戦闘の中、本土から派遣された少尉・山下と、沖縄出身の新兵・安慶名のふたりは、敵の銃撃から逃れ、大きなガジュマルの木の上に身を潜めます。
連絡も援軍もないまま、「耐えろ」とだけ命じられた彼らは、終戦を知らされることもなく、なんと2年間もその木の上で生活を続けることになるのです。
・・どうやら、これ、実話らしいのです。
信じられないような話ですが、それだけに観ていて心に深く刺さります。
なぜこの映画を観たのか?
私は、日本が最後に起こした戦争について、きちんと知っておくべきだと思っています。
もちろん、「戦争をせざるを得ないほど追い込まれていた」とも言われます。
でも、どんな理由があろうと、戦争がもたらしたのは、民間人も含めた数えきれない命の犠牲でした。
この映画の中でも、兵士や一般市民が命を落とすシーンがいくつも描かれます。
目を背けたくなるような場面も多い。でも、だからこそ──
それを“知る”ことで、私たちは「二度とこんなことは繰り返してはいけない」と心に刻むことができると思っています。
映画はフィクションかもしれません。けれど、その中に描かれていた「米兵が日本兵と米兵両方の亡骸を運ぶ」場面は、ただの演出ではないようです。
というのも、実際にこの映画の撮影中、遺骨が多数見つかったという事実があるのです。
過去が今とつながっている──そんな感覚を、肌で感じさせられました。
観終えて、心に残ったこと。
上映後、私はしばらく席を立てませんでした。
映画そのものは静かに終わっていったのに、心の中には何か大きなものが残ったままで。
そして、ふと浮かんできたのが”伊江島”という地名でした。
実は昔、沖縄本島を訪れた際に、「伊江島にも行ってみたいな」と思っていたことがあるんです。
フェリーで渡れる距離。だけど時間がなくて断念してしまった──
遠くから眺めたその島は、なんとも力強くて、静かで、美しい島でした。
まさか、あの島が、あの場所が、かつて凄惨な戦場だったなんて・・・。
「行かなくてよかった」じゃない。
「行って、自分の目で確かめてみたかった」。
今、そう強く思います。
この作品を通じて、戦争というものがどれだけ人の人生を狂わせ、
そして”土地”そのものに記憶として刻まれていくものなのかを、
改めて感じさせられました。
今はただ、伊江島の空と海を思い浮かべながら、
静かにこの余韻と向き合っています。(合掌!)