【弁当3分マンと説明マシンガン】
〜コミュ力に難ありと言われた二人と、ちょっかいおじいさんの物語〜
職場には今、
お客さんから「コミュニケーションに難あり」と評価された
若手とベテラン、二人の男 がいる。
だが私は最近、
この二人を見ていて確信した。
——人間はラベル通りには生きてない。
■若手:弁当3分マンの異常な瞬発力
昼休み。
若手社員が、母親が愛情込めて作った弁当を
ガツガツガツガツ!!(お弁当箱まで?という勢いで)
と吸い込むように食べ終える。
あまりに早すぎて、つい言ってしまった。
「お前、もう喰ったのか?
お母さんが息子のために作った弁当を
2分で食べるなんて失礼だぞ!」
すると彼は胸を張って言う。
「3分です!」
いや、そこ誇るな。
その返しの速さ、本番の会議でも頼む。
■ベテラン:展示会で突然覚醒する説明マシンガン
普段のベテラン技術者は、
必要最低限しか喋らない“静寂の住人”。
ところが展示会に放り込んだ瞬間、
知らない人に自ら声をかけまくり
マシンガンのように説明を連射し
気づけば誰よりも長く喋っている。
周囲は騒然。
私は心の中で叫んだ。
「どういうこと!?」
何年も一緒に働いているのに、
こんな隠し弾があったのか。
■IQの低い脳みそをフル回転して考えてみた
この現象、どう説明すべきか。
コミュニケーション能力の問題?
それとも好き嫌いが激しい?
IQの低い脳みそをフル回転させて考えた結果——
一つの答えに行き着いた。
人は“納得しないと動かない生き物”である。
プライドもあれば、
自分なりの価値観もある。
ダチョウのように素直に走り出すわけではない。
考え、選び、腑に落ちた瞬間にだけスイッチが入る。
つまり、
「喋る・喋らない」はコミュ力ではなく
“相手とタイミングとスイッチ”の問題。
若手は“怒られる系の話題”には瞬時に反応し、
ベテランは“自分の領域”に入ると火山のように噴火する。
そのめんどくささこそ、
人間の愛すべき部分なんだと思う。
■そして、ちょっかいおじいさんは今日も…
そして今日も私は、
「コミュ力に難あり」と言われる若手とベテランに
ちょっかいを出し続けている。
弁当3分マンには昼休みに絡み、
説明マシンガンには技術ネタを投げては反応を楽しむ。
しかしふと、気づいてしまった。
……いや、もしかして——
私自身こそ、
別の意味でコミュニケーション能力に難があるのでは???
背筋がスッと寒くなった昼下がりであった。
