「今忙しいので無理です。」は無しにしようぜ!
創業者の水野が作った会社案内の中に、こんな言葉があります。
「愉しくなければ会社じゃない。」
当時の私は思いました。
「えええ、そうなの?」
「全然愉しくないんだけど……。」
「ハルって会社じゃないのか?」
当時は月100時間を超える残業なんて当たり前。
毎日ヘトヘトになって帰宅する日々でした。
正直、愉しいなんて思ったことはありません。
ところが、世の中にパーソナルコンピュータが登場し、自分でも購入して自宅で使うようになってから、少しずつ考えが変わっていきました。
会社ではお客様の仕事に全力投球。
終電ギリギリまで仕事をして帰宅。
「さあ寝よう。」
……と思っても、脳みそが興奮して眠れない。
そんな時、自宅のパソコンに向かうようになりました。
もちろん仕事の続きをすることもありました。
でも、一番夢中になったのは、自分が作りたいプログラムを作っている時間でした。
不思議なくらい愉しかったのです。
すると、どこからともなく水野の声が聞こえてきます。
「平田君、愉しいだろう?」
「お客さんの仕事がきつくても辛くても、こうやって自分の好きなプログラムを作っている。」
「ハルって良い会社じゃないか。愉しいよね!」
私は思わず反論します。
「いやいや、水野さん。それはハルとは関係ないですよ。」
「自分のプライベートの時間ですから。」
すると水野は笑いながら言います。
「何を言ってる平田君。」
「固いこと言うな。」
「ぜーんぶひっくるめてハルなんだよ!」
「いやぁ……無茶苦茶言いますね。」
そんな会話を、今でも時々思い出します。
でも今になって思うのです。
水野が言いたかったのは、そういうことだったのかもしれません。
会社は、お客様のものづくりを支える。
それは全力でやる。
でも、それだけで燃え尽きてしまったら、もったいない。
せっかく身に付けた技術があります。
せっかくプログラムが書けます。
せっかくものづくりができるのです。
だったら仕事とは別に、自分たちが本当に作りたいもの、生み出したいものにも挑戦してみたらどうでしょう。
そこで返ってくる言葉が、
「今忙しいので無理です。」
だったら、少し寂しい気がします。
忙しいのはみんな同じです。
だからこそ、その先にある「愉しいものづくり」を、一つくらい持っていてもいい。
私は今、その時間が未来の会社を育てるのだと信じています。
【余談】
つい先日、作家の東野圭吾さんが68歳で亡くなった。
同級生だ。
その少し前には、評論家の山田五郎さんが67歳で亡くなった。
下級生だ。
こういう情報を聞くたびに、私は奮い立つ。
「今忙しいので無理です!」
だと?
馬鹿言ってるんじゃねえ!
こっちとら、いつ黄泉の国からお呼びがかかってもおかしくない年齢なんだ。
「無理なんてセリフを吐いてるんじゃねえ!」
「せっかく身に付けた技術があるなら、好きなものを作って、思い切り愉しみやがれ!」
人生は、思っているほど長くない。
だから私は、今日も作る。
考える。
そして、愉しむ。

