ガイアの夜明けを見て考えた、日本の農業の未来
昨日放送された「ガイアの夜明け」を見ていて、とても考えさせられる内容がありました。
テーマは、サンマルクという企業の農業への取り組みです。
私は以前から、日本は島国である以上、国民が食べることに困らない程度の食料自給率は維持していく必要があると考えています。
高齢化によって農業を続けられなくなった農家の土地を企業が引き継ぎ、日本国内で農作物を作り続ける。そんな仕組みも必要なのではないかと思っていました。
しかし今回の番組は、私の考えを少し変えてくれました。
サンマルクは農地を買い取るのではありません。
米の収穫が終わった農地を借り、その期間だけ小麦を育てる。そして収穫後は、翌年も農家がいつも通り米作りができる状態に整えて返却する。
一つの農地を、農家と企業が一年を通して有効活用する。
そんな取り組みだったのです。
もちろん最初から農家の皆さんが快く土地を貸してくれたわけではありません。
番組の中で、私の胸に最も突き刺さった言葉がありました。
「企業は赤字になれば、すぐ撤退するでしょう。」
最初は厳しい言葉だなと思いました。
しかし番組を見進めると、サンマルクは過去に自然災害で農作物が壊滅的な被害を受け、その事業から撤退した経験があったことを知りました。
その瞬間、
「なるほど…。おっしゃる通りだ。」
と妙に納得してしまったのです。
何百年も土地を守り続けてきた農家からすれば、「また途中でいなくなるのではないか」という不安を持つのは当然のことです。
だから企業は言葉ではなく、実績で信頼を積み重ねていくしかありません。
借りた農地でしっかり小麦を育てる。
予定通り収穫する。
農地を元通り整えて返す。
そして翌年、その田んぼでいつも通り、あるいはそれ以上に良い米が育つ。
その積み重ねによって、
「それなら、うちも貸してみようか。」
そう考える農家が少しずつ増え、やがて飛び地だった農地も広がり、効率よく農業ができるようになる。
私は、その流れに大きな可能性を感じました。
さらに印象に残った場面がありました。
ITを活用して小麦の育ち具合を監視していると、一部だけ生育が悪い場所が見つかりました。
現場へ行って原因を調べると、犯人は鴨。
小麦を食べていたのです。
そこで行った対策は最新技術ではありませんでした。
黒い大きなシートを棒に括り付け、農地に立てる。
風でシートが揺れて音を立てることで、鴨が警戒して近寄らなくなるという、昔ながらの知恵でした。
私は思わず感心しました。
最新技術が原因を見つけ、昔から受け継がれてきた知恵が問題を解決する。
これも立派な役割分担です。
しかも、このような知恵は地域ごとに違うはずです。
鴨だけではありません。
イノシシ、シカ、サル、鳥など、それぞれの地域で先人たちが培ってきた工夫があります。
そうした知恵をITによって記録し、全国で共有できれば、多くの農家の役に立つのではないでしょうか。
そして私が今回たどり着いた結論は、企業が農家に代わることではありませんでした。
農家を企業が支え、農家を新しい技術が支え、農家が少しでも長く農業を続けられる環境をつくること。
それがまず大切なのだと思いました。
人手が必要な時には企業も一緒に汗を流す。
ITやAIで負担を軽減する。
そして、どうしても続けられなくなった時に、
「後は頼む。」
と信頼して企業や若い担い手へバトンタッチできる。
そんな流れができれば、日本の食料自給率を維持しながら、農業も次の世代へ受け継いでいけるのではないかと思います。
もちろん、これは現時点で私が番組を見て感じたことです。
これからまた新しい現場を見れば、考え方も変わるかもしれません。
でも今回の番組を通して改めて感じたのは、
人から人へ。
知恵から知恵へ。
そして技術へ。
それらを「つないでいく」ことこそが、日本の農業の未来につながるのではないか。
そんなことを考えさせられた、とても有意義な一時間でした。

