振り返り——そして、近い未来を思う。
ある人が、ぽつりと言った。
アナログは難しい。でも、デジタルは簡単で、誰でも真似できる——と。
そのときは、まあ確かにそうだよね、と頷いた。
雑談みたいなもんだ。
でも、あとからじわっと残る言葉というのがある。
昔のものづくりってね、
大きなユニバーサルボードに部品を一つひとつ載せて、
ジャンパー線を飛ばしながら動かしていく。
動いたと思えば、またどこかが違う。
回路図を書いて、基板を作って、また動かして——
そんなことを何度も繰り返していた。
ハードもソフトも、同じ現場で混ざり合って、
ああでもない、こうでもないとやっていた、あの空気。
あれは、嫌いじゃなかった。
そういえば、オフィスのリニューアル中に、
H8やPICのスタートキットが出てきてね。
今のPCじゃ動かないんだけど、
つい手に取って眺めてしまった。
テンキーに、LEDパネル、LEDランプ。
トグルスイッチにロータリースイッチ、通信用のコネクタ——
触れば反応が返ってくる。
押せば光る。
つなげば動く。
あれは新人教育には、もってこいの教材だった。
最初はうまく動かない。
でも、ある瞬間ふっと動く。
あのときの顔がね、いいんですよ。
じゃあ今はどうなんだろう。
現場を離れて23年。
正直なところ、今の開発現場の実情はよく分からない。
守秘義務もあるし、
外に出てくる情報は、きれいに整えられたものばかりだ。
だからこそ、想像するしかない。
そんな中で、こんな話も聞いた。
入社3年目までは、生成AIの使用は禁止。
理由はシンプルで、
「プログラムを組めなくなるから」だという。
「どうしてこういうコードになったの?」
そう聞かれて、
「さぁ…AIが作りましたから」
それでは、仕事にならない。
私は思う。
たとえ生成AIにコードを作ってもらったとしても、
その中身を理解できること。
自分で変更できること。
バグが出たときに修正できること。
そして、それが正しいと確認できること。
そこまで出来て、はじめて“使っている”と言えるんじゃないかと。
私は開発現場を離れて23年が経つ。
それでも、若い技術者を育てることには、強い関心がある。
AIの登場で、世の中も、開発現場も、
これから大きく変わっていくのだろう。
ただ一つ、願うことがある。
できる技術者だけに負荷がかかるような、
そんな世の中にはなってほしくない。
誰か一部が背負うのではなく、
それぞれが力を持ち寄りながら、支え合っていく。
AIも、その一つの力として——
みんなが共存し、共に活きる。
そんな時代になってほしいと、思っている。
まあ、そんなことをつらつらと考えていた、ある日の雑談。
これからの時代、IT技術者がますます活躍できる姿を私は想像できる。未来は?明るい…筈。(笑)
