反応ゼロ。だから面白い。
本日は展示会へ。
だが、今日の私の目的は、 出展品を真剣に見て回ることだけではなかった。
むしろ――
『人は、静かな仕掛けに気付くのか?』
その実験だった。
白いカードをリュックにぶら下げ、会場へ向かう。
説明なし。 ロゴなし。 QRコードなし。 派手な装飾もなし。
ただ、白いカード。
そして私は、会場の空気を観察していた。
そもそも今回持ち込んだものとは?
ここで少し補足しておきたい。
今回私が持ち込んだ白いカードは、 何か完成された試作品ではない。
むしろ逆だ。
現在私が進めているプロジェクトに関連するものではあるが、 まだ『どのような形にするべきか』を試行錯誤している段階にある。
つまり、正式な試作品と言えるものではない。
そして重要なのは、 今回の検証品は、世の中に既に存在し広まっている“類似カテゴリ”のものを参考にした、非常にシンプルな存在だということだ。
だからこそ面白かった。
私は今回、
『この程度の曖昧な存在に対し、人はどう反応するのか?』
を見たかった。
つまりこれは、単なる自分のプロジェクトの検証だけではない。
すでに世の中に存在している“似たような存在”に対して、 人々がどれほど関心を持ち、どう視線を向け、どんな行動を取るのか。
その空気を観察する実験でもあった。
そして結果として、 『人は気付いても、すぐには行動しない。』
という、非常に興味深い現象を見ることが出来た。
展示会場では“反応ゼロ”
結果から言えば、会場内での反応はほぼゼロだった。
しかし――
これは想定内。
なぜなら、今回の展示会は自治体が主催している場ではなく、 『自治体へ製品やサービスを売り込みたい民間企業』の展示会だったからだ。
つまり会場の空気は、
・営業 ・商談 ・導入提案 ・競合比較 ・自社PR
そんな空気で満ちていた。
出展者たちは、自社製品を見せ、説明し、商談を行う。 当然、視線は“前”へ向かう。
背中のリュックにぶら下がる静かな白いカードなど、ほとんど視界に入らない。
だが、私はそこにも気付きがあった。
『人は、環境によって視線モードが変わる。』
ということだ。
面白かったのは帰りの電車
本当に面白かったのは、帰りの電車だった。
私はリラックスして座っていた。
すると、通路を挟んで向かい側に座っていた会社員らしき二人が、何度もこちらを見る。
しかも、どうやら二人で何か話しているようにも見えた。
もちろん内容までは分からない。
だが少なくとも、私のぶら下げているものに対し、興味を示していたように感じた。
一度ではない。
何度も。
チラッ。
また見る。
そしてまた見る。
だが、話しかけてはこない。
当然だ。
電車という空間では、 他人に話しかけるには少しハードルがある。
しかも通路を挟んでいる。
しかし、確実に“気になっている”。
私はそこに、とても大きなヒントを感じた。
人は、意味の分からないものほど気になる。
特に、
・派手ではない ・広告っぽくない ・でも何か意味がありそう ・説明がない ・妙に存在感がある
そういうものは、脳の中で『未処理状態』になる。
だから何度も見る。
実は電車の車内というのは、意外と周囲を観察する場所でもある。
本を読む人。 スマホを見る人。 ぼーっと外を見る人。
そして時には、人間ウォッチング。
人は、手持ち無沙汰になると、自然と周囲へ視線を向ける。
だからこそ今回のような“静かな違和感”は、案外強い。
そして私は思った。
――彼らは、まんまと私の仕掛けにハマったのだと。
もちろん悪意のある意味ではない。
だが、 『何だろう?』 と思わせた時点で、こちらの勝ちなのである。
これは、かなり面白い実験結果だった。
白いカードの次へ
帰宅後、さらに考えた。
次は“穴あきカード”を試してみようと。
ただの白い板ではなく、穴を開ける。
すると人は、
『何で穴が開いているんだ?』
と考え始める。
機能があるのか? 意味があるのか? 光るのか? センサーか? 点字か?
人の脳は、勝手に補完を始める。
私は今、それを愉しんでいる。
完成品を発表したいのではない。
社会の中に、そっと置いてみたいのだ。
そして、人の視線や反応を観察したい。
もちろん、今回の展示会で私は“仕掛けの検証”だけをしていたわけではない。
せっかく展示会に来たのだ。
盛りだくさんのブースをただスルーし、通行人のように歩くだけでは、出展者にも失礼だと思っている。
だから私は、いくつかのブースへ立ち寄り、担当者とも会話をし、情報収集もしっかり行った。
実際に話を聞いてみると、やはり現場の空気が見える。
Webサイトやカタログだけでは分からない温度感。 担当者の熱量。 企業がどこへ向かおうとしているのか。
そういうものは、現地で会話してこそ伝わってくる。
AI展示も少し見て回った
今日はAI関連も少し見て回った。
やはり思う。
AIに任せるところは、どんどん任せる時代になる。
例えば、
・電話対応 ・議事録 ・勤怠管理 ・問い合わせ整理
この辺りは、かなりAIと相性が良い。
人間はもっと、
『人にしか出来ないこと』
へ集中していく時代になるだろう。
私は以前から思っている。
AIは敵ではない。
共生だ。
しっかり役割分担して、 人間はもっと“人間らしいこと”へ向かえばいい。
今日は、最初の一歩
白いカード。
展示会。
電車の視線。
AI。
未来の働き方。
今日は色々なものが、静かにつながった一日だった。
そして何より――
愉しかった。
まだ始まったばかり。
今日は、最初の一歩である。
