「なぜ私は映画の内容を覚えていないのか?」
趣味は映画鑑賞。
しかし困ったことに、見終わった映画の内容が、時間と共にかなり消えていく。(笑)
娘からは、
「お父さん、映画好きって言う割に全然内容覚えてないよね?」
と鋭いツッコミを受ける始末だ。
確かにその通りだと思う。
息子とは映画を見に行き、帰りの車の中で毎回作品談義になる。
「あの演出にはこういう意味があるのでは?」
「あの人物は本当はこう思っていたのでは?」
「あそこは少々長いな」
「逆にあの“間”は良かった」
など、ああでもないこうでもないと語り合う。
ところが数日後。
「で、どんな内容だった?」
と聞かれると、
記憶にございません。
なぜこうなるのか?
最近ようやく分かってきた。
私は純粋な“観客”として映画を見ていないのだ。
長年、ものづくりや企画、演出、文章など、
“作る側”の思考で生きてきたせいか、
映画を見ていても無意識に、
「なぜこう見せた?」
「この演出の狙いは?」
「このセリフの裏に何がある?」
「ここは削った方が良いのでは?」
などと考え始めてしまう。
つまり物語を丸ごと保存しているのではなく、
映画を一度“ふるい”にかけているのだと思う。
そして最後に残るのは、
・空気感
・演出
・間
・違和感
・人間臭さ
・光の見せ方
・心に引っかかった一言
そんな、自分のこれからのものづくりに役立ちそうな“原石”だけ。
それ以外は、
静かに記憶から流れていく。
ただ、例外もある。
『君たちはどう生きるか』を見た時は、
見終わった直後に本屋へ行き、
映画の全セリフが掲載された本を購入した。
そして何度も読み返しながら、
宮崎駿監督が、
何を伝えたかったのかを考え続けた。
過去作品とのつながり。
ジブリを支えてきた人々。
創作者としての人生。
そんなものまで感じながら見ていた。
結局私は、
映画の内容を記憶しているのではなく、
映画の中から“これからの自分に必要な灯”を拾っているのかもしれない。
…ぼけ老人じゃありませんってか!(笑)
