「飛行機遅延?さて、どこで遊ぼうか。」
昨夜、妻と娘を羽田空港まで迎えに行った。
到着予定は23時05分。
……のはずだった。
しかし、空港の電光掲示板を見ると、
到着予定時刻は23時10分へ変更。
まあここまでは普通だ。
ところが、その下に表示された、
同じ札幌発・23時30分到着予定の便が、
「23時06分到着予定」と表示されている。

おいおい。
どこか上空で追い抜く予定なのか?
そんなことを思いながら、
私は深夜の羽田空港でニヤニヤしていた。
普通なら、
「遅いなぁ……」
「疲れたなぁ……」
となるのだろう。
しかし私は違う。
ASOBUのである。
TANOSHIMUのである。
しかも昨夜の羽田空港は実に面白かった。
深夜便遅延の影響で、
終電やバスを気にする人たち。
険しい顔で対応を続けるスタッフ。
到着口から出てきた瞬間、
安心したようにスマホを見る人。
迎えの人を探してキョロキョロする人。
私は、そんな一人一人を観察していた。
人混みは苦手だ。
でも昨夜の羽田は違った。
深夜だからこそ、
一人一人の人間が見えた。
そして私は、
スエットパンツにギョサン姿。

国際線ロビー横に立ちながら、
「誰か、この変な爺さんに突っ込んでくれないかな?」
などと考えていた。
さらに私は、
警備員に、
「札幌便はここでいいですよね?」
と聞いた。
しかし、
分かっているのに、
時間を置いて、
今度はグランドスタッフのお姉さんにも同じことを聞く。
面倒な爺さんである。
でも理由がある。
彼女の顔が、
かなり険しかったからだ。
きっと遅延対応で大変だったのだろう。
しかし、
私がちょっと存在をアピールすると、
彼女は空気を読んで歩み寄り、
笑顔で案内してくれた。
ああ。
この人の本来の笑顔は、
こういう顔なんだな。
そのほうが良いよね。
そう思った。
人は、
どこでどう見られているか分からない。
でも、
人と接するとき、
ちゃんと笑顔を作る。
それもまた、
プロの仕事なのだろう。
私は、
想定外なことが起きても、
あまり深く考えない。
入力情報を得る。
すると脳内で、
切り替えスイッチが入る。
そして出力はこうだ。
ASOBU。
TANOSHIMU。
想定外は、
想定外なのだ。
完全回避などできない。
ならば、
「ここまで回避できたぜ!」
を目指せばいい。
100点満点を目指したら苦痛になる。
だから私は、
完璧を目指して苦しんでいる人たちの横を、
鼻歌交じりに歩いていく。
これでいいのだぁー!
