「騙しのテクニックは、そう甘くなかった。」
今日は、“壊れた部品を作るために、その壊れた部品が必要だった”という、まるで禅問答のような一日だった。
3Dプリンターで使っていた重要なパーツが破損。
ところが、その部品が無いと、次の部品をまともに印刷できない。
「まあ、なんとか騙し騙し行けるだろう。」
最初はそう考えていた。
ところが甘かった。
ジャムもジャム。
フィラメント側が盛大に暴れ、プリンター内部で大渋滞を起こした。
そこで急遽、市販品を購入。
PTFE継手やナットなど、実績ある部品を組み合わせ、“第二の騙しテクニック”を発動。
フィラメントが自然にプリンター側へ引き込まれるよう調整しながら、何度も何度もFusion360で寸法を微調整。
0.数ミリの世界で、
「キツい。」
「まだ入らん。」
「今度は緩い。」
そんな事を延々繰り返した。
そして、ようやく4セット分のパーツが完成。

だが今日、一番心臓に悪かったのは別件だった。
3D印刷中。
突然、背後から、
「ガガガガガガッ!!」
という異音。
「おいおいおい…やっぱり騙しのテクニックじゃダメだったか!?」
慌ててプリンターへ駆け寄る。
だが。
異音の正体は、背後で空調設備の調整作業をしていた設備屋さんだった。
……マジかよ。
タイミング良すぎるんだよ、その異音。
だが、そんなドタバタの中で、改めて気付かされた。
昔、組込みソフトを作っていた頃も同じだった。
実績のあるものは使う。
全部をゼロから作ろうとしない。
最初はFusion360を覚えたくて、何でも自分で作ろうとしていた。
だが現実は違う。
世の中には、先人たちが散々苦労して作り上げた“実績ある部品”が存在する。
それを活かし、本当に必要な部分へ集中する。
ものづくりの基本は、今も昔も変わらない。
そして何より。
自分が愉しくないものを、他人が愉しめるわけがない。
今日も私は、壊れ、詰まり、焦り、笑いながら、ものづくりを愉しんでいた。
次の予定は?
2液エポキシを購入して最終仕上げ。
そして——
いよいよPLAからTPUへ素材変更してのものづくり挑戦。
柔らかい素材は、恐らくまた新たなジャムや失敗との戦いになるだろう。
だが、それもまた愉しい。
さて次は、どんな騒動が待っているのやら。
