「AIを見ない展示会散歩。」
今日は、ワイヤレステクノロジーパークへ足を運んだ。
知り合いの三ツ波さんが出展されているとのことで顔を出したのだが、会場はなかなかの盛況ぶり。
何度か時間調整をして、ようやく阿部さんともゆっくりお話しすることができた。

最近の展示会へ行くと、どこを見ても「AI」「生成AI」「DX」の文字が踊っている。
もちろん、それ自体は悪いことではない。
私自身もAIは大いに活用している。
だが、今日の私は、あえて「AI」という文字を無視して会場を歩いてみた。
すると、逆に色々なものが見えてきた。

920MHz、850MHzといった通信帯域の話。
90GHzミリ波レーダー。

Leafonyのような小型IoT基板。

懐かしのItron。

そして在宅高齢者向け遠隔診療システム。

どれも決して派手ではない。
だが、こういう技術こそが、実は未来を支える“土台”なのではないかと思った。
AIだけでは何も成立しない。
通信が必要。
センサーが必要。
電源が必要。
OSが必要。
小さなモジュールたちが必要。
そして、それらを「どう組み合わせるか」を考える人間が必要だ。
展示会を歩きながら、私はずっと考えていた。
「これを使って、何か面白いものが作れないか?」
我々のようなソフト屋は、新しい通信モジュールやセンサーが世の中に出てきた時、それを実際に組み合わせ、自前で検証し、新しいシステムとして提案することができる。
それが愉しい。
昔、60GHzミリ波レーダーを使い、体温・呼吸・心拍を計測する“ハルロボ”なるものを展示会へ出展したこともあった。
また、Leafonyが世の中へ出た瞬間、面白そうだと飛びついたことも思い出した。
さらに、以前ハルにも来て頂き、お話を伺った企業のブースもあった。
そこでは、「音」でデータ通信を行うという、実に面白い発想の技術が展示されていた。
普通なら、機械が発する音など“ノイズ”として無視する。
だが、その“捨てるもの”を逆に活かし、データ伝送へ利用する。
私はこういう発想が大好きだ。
新しいものをゼロから作るだけではない。
今まで見向きもされなかったもの。
捨てられていたもの。
邪魔者扱いされていたもの。
そこへ別の意味や役割を与える。
実は、こういうところに未来のヒントが転がっている気がする。
そして、遠隔診療システムの展示を見た時には、思わず微笑んでしまった。
「ああ、10数年前に似た思想でデモを作ったな…」
と。
細かな技術は進化している。
だが、人が考える“本質”というものは、案外昔から変わっていないのかもしれない。
今日の展示会は、AIを探しに行ったのではない。
未来を支える“種”を探しに行った散歩だった。
そして私は、やはりこういう散歩が好きなのだ。
