「縁は、忘れた頃にやってくる。」
ある日の朝、息子を駅まで送る車の中で、ふとSEADOGの話になった。
鎌倉・材木座にある私のお気に入りのブランドだ。
ただし今は年に4回ほど、しかも1回につき1週間程度しか店を開けない。
前回久しぶりに訪れた際には「次回オープン時にはメールでお知らせします」と会員登録までした。
ところが、そのメールが来ない。
いや、正確には私がどこかで受信拒否していたのかもしれない。
いずれにせよ連絡は届かず、
「まあ、縁がなかったんだな。」
そんな話を息子としていた。
実はその少し前、立石海岸へシーグラスを拾いに行った時も店の前を通った。
当然ながら閉まっていた。
その時も、
「やっぱりやってないね。」
そんな会話をしていた。
だから私の中では、SEADOGとの縁は一度終わった話になっていたのである。
ところが帰宅して一時間ほど経った頃。
娘がスマホを見ながら突然こう言った。
「そういえばSEADOG、今お店やってるよ。」
私は耳を疑った。
なぜなら娘は、私と息子が朝その話をしていたことを知らない。
こちらから話したわけでもない。
まったく別ルートから突然その話題が飛び出してきたのである。
これはもう行かない手はない。
私は車を走らせ材木座へ向かった。
何年ぶりだろう。
無事に家族分の買い物を済ませることが出来た。
やはり縁は切れていなかったのである。
そして帰り道。
「ここまで来たら権五郎力餅だよね。」
という話になった。
ところが店の前に到着して絶句した。
見たこともない大行列である。

私は即座に諦めた。
無理だ。
しかし妻は違った。
車を降りて列の最後尾へ向かっていった。
しばらくして戻ってきた妻が笑顔で言った。
「買ってきたよ。1500円だった。」
私は叫んだ。
「お~~い!ごんごろう!値上げにもほどがあるぞ!」
いつも私が買う10個入りは900円である。
たった数年で1500円とは何事か。
ところが違った。
妻が買ったのは16個入りだったのである。

私は一人で勝手に驚き、一人で勝手に憤慨していた。
そんなわけで本日は、
縁がないと思っていたSEADOGとの再会を果たし、
最後は権五郎力餅を頬張りながら帰宅した。
人生というものは面白い。
終わったと思っていた縁が、
ある日突然、
娘の一言によって目の前に現れることがある。
だから私は、縁というものを大切にしたいのである。
そして妻には、これからも行列担当をお願いしたいと思う。
