三谷幸喜を見ていたら、なぜか畑を耕していた。
土曜日の朝。
録画してあった「カンブリア宮殿」を見ました。
今回登場していたのは三谷幸喜さん。
最初に申し上げておきます。
私は三谷幸喜さんの作品が、それほど好みというわけではありません。
ファンの皆様、ごめんなさい。
ところがですね。
三谷幸喜という「人」は、実に面白かった。
番組を見ながら、
「へぇ~」
「なるほどねぇ」
「これ、会社でも同じじゃない?」
と、爺さんの頭が勝手に動き始めました。
役者を決めてから脚本を書く
私がまず面白いと思ったのが、俳優の個性を見極め、それを活かす脚本を書くという話。
場合によってはキャスティングが決まってから脚本を書くそうです。
普通は逆じゃないの?
脚本があって、その役に合う俳優を選ぶ。
ところが三谷さんは、その俳優をよく見て、
「この人の面白さをどう活かそう?」
と考える。
しかも主役だけではありません。
出演する人それぞれに意味のある役を与え、みんながハッピーになる作品を目指す。
役者さんたちから絶賛される理由が、少し分かった気がしました。
そこで爺さん、また余計なことを考えます。
これ、会社だったらどうなんだ?
私たちは社員をどれだけ見ているのだろう
社員にも当然、一人ひとり個性があります。
技術が好きな人。
人と話すのが好きな人。
黙々と何かを作るのが好きな人。
普段はおとなしいのに、ある話になると突然目を輝かせる人。
人をまとめるのが得意な人。
逆に、誰かを後ろから支えるのが得意な人。
果たして経営者や上長は、それをどこまで見ているのでしょう。
私は昔から、人を面白がって観察するのが好きです。
「こいつ、なんでここだけ妙に食いつくんだ?」
「へぇ、こんなこと出来るんだ」
「あれ? 意外と面倒見がいいじゃん」
人間なんて、見ていると面白い。
そして、その人の良いところをたくさん見つけられたら、もっと面白い。
「この人はこういう人」と決めたら、そこで終わる
三谷さんの話でもう一つ面白かったのが、俳優の得意な個性を十分理解したうえで、あえてそれを封印して真逆の役をやらせることがあるという話でした。
結果、
「この人、こんな役も出来るんだ!」
となる。
これも会社に置き換えられます。
「こいつは、ちゃきちゃきの技術屋だから、人をまとめるのは無理だろう」
そう決めて、ずっと技術だけをやってもらう。
もちろん、それも一つの選択です。
でも、
「これだけ仕事が出来るんだから、小さなチームを任せてみたらどうなる?」
と、一度やらせてみる。
結果、出来るかもしれない。
出来ないかもしれない。
出来なかったら?
それもいいじゃないですか。
やらせなければ、出来るか出来ないかすら永遠に分からない。
人の可能性を、こちら側が勝手に決めてしまわない。
これも大切なのかもしれません。
でも、個性が出る「場」ってどこだ?
ここまで考えて、また爺さんの頭が違う方向へ走り始めました。
会社には当然、仕事があります。
弊社のような中小IT企業は、お客様の製品づくりに参画することで成り立っています。
これは大切な本業です。
でも、それだけで社員全員が「愉しい!」となるかといえば、私は難しいと思っています。
お客様の仕事ですから、仕様もある。納期もある。制約もある。
だったら会社の中に、もう一つ別の「場」があってもいいんじゃないか。
弊社なら「ものづくり部」のような活動があります。
自分たちが作りたいものを作る。
それ以外にもスポーツでもいい。
レクリエーションでもいい。
部活動でもいい。
そして今朝、なぜか頭に浮かんだのが――
農業でした。
なぜじゃ。
三谷幸喜を見ていたはずなのに。
IT企業、畑を耕す
例えば山間部の農地を安く借りる。
そこで、その地域ではあまり作られていない農作物を育ててみる。
最近は気候も変わっています。
昔ならもっと南で育てていた作物が、別の地域でも育つかもしれない。
だったら、
やってみればいいじゃん。
ただし、我々はIT屋です。
普通に畑を耕して終わったら面白くない。
温度を測る。
湿度を測る。
土壌の状態を測る。
カメラを置く。
生育状況を記録する。
害獣が来たら、その時間も記録する。
必要なら何か作る。
AIも使ってみる。
そして――
全滅する。
いいじゃないですか。
全滅しても。
ただしIT企業ですから、
データだけはきっちり残す。
「なぜ全滅した?」
そこから、また遊びが始まる。
翌年、条件を変えて再挑戦してもいい。
集めた情報を近隣の農家さんに無償で渡してもいい。
すると農家さんから、
「だったら、こんなの測れない?」
なんて話が来るかもしれない。
それを聞いた技術者が、
「それ、作れるかも」
と言い出す。
そうなったら、また面白い。
最初から新規事業なんて考えていません。
ただ畑で遊んでいただけです。
間違って豊作になったらどうする
問題があります。
万が一、間違って豊作になった場合です。
その時は無人販売所でも作りましょう。
ただし値段は決めません。
看板には、こう書く。
本日の収穫物
ここに並ぶ農作物は、本業とはまったく関係のないIT企業の有志たちが、血と汗を流し、寝る間も惜しんで作り上げた逸品の数々です。
……というほどではありませんが、本気で遊んで育てました。
値段は決めておりません。
皆様のお気持ちを頂戴できれば幸いです。
どうぞお好きなものをお持ち帰りください。
なお、味についてのお問い合わせはご遠慮ください。
我々、本業はIT企業です。
こんな無人販売所があったら、私は買います。
いや、売る側だった。
本気で遊ぶ
農業は、あくまで一例です。
スポーツでもいい。
ものづくりでもいい。
音楽でもいい。
何でもいい。
大切なのは、
本気で遊べる場が会社の中にあること。
昭和の子どもだった私は、暗くなるまで外で遊んでいました。
あの頃、
「今日は遊びだから適当にやろう」
なんて思ったことはありません。
遊びだからこそ、本気でした。
誰かに指示されたわけでもない。
評価されるわけでもない。
売上目標もない。
それでも夢中になって、工夫して、失敗して、翌日また続きをやる。
大人になったって、それでいいんじゃないでしょうか。
愉しくなければ会社じゃない!
弊社の創業者、水野がよく言っていました。
「愉しくなければ会社じゃない!」
もちろん、会社に来れば毎日愉しい、なんてことはありません。
仕事には苦しいこともあります。
嫌になる日だってあります。
だからこそ、本業とは違うもう一つの「場」があってもいい。
そこで肩書きを少し横へ置いて、本気で遊ぶ。
すると普段の仕事では見えなかった誰かの個性が出てくるかもしれません。
「へぇ、こいつこんなこと出来るんだ」
「意外と人をまとめるじゃん」
「こんなに夢中になる奴だったのか」
そんな発見があれば、それも立派な収穫です。
三谷幸喜さんの話から始まった土曜日の朝。
俳優一人ひとりの個性を見極め、その人が活きる役を書く。
時には、まったく違う役を与えて新しい可能性を引き出す。
そして全員に意味のある役を与え、ハッピーな作品を作る。
そんな話を聞きながら、
会社もそうだったら面白いな。
と思いました。
社員一人ひとりをよく見る。
良いところをたくさん見つける。
その個性が活きる場を作る。
そして、まだ見えていない可能性も面白がってみる。
出来ているか、出来ていないか。
そんな話ではありません。
そんな会社を目指せたら、愉しいよね。
という話です。
さて。
三谷幸喜さんを見ていただけなのに、なぜ私は最後に畑を耕しているのでしょう。
まあ、いいか。
これも土曜日の朝の、
本気の遊びです。

