先日、『ガイアの夜明け』を見ていて、「0度」という取り組みを知りました。

その発想と、実際にそこまで形にしていることに、素直に「凄いな」と感じました。

ところが番組を見ていて、もう一つ強く心に残ったことがありました。

農作物が豊作になったとき、供給量が増えすぎて価格が下がることを防ぐため、丹精込めて育てた作物を廃棄処分にすることがあるという現実です。

もちろん、私は農業の専門家ではありません。

農家の皆さんには生活が懸かっています。

価格が大きく下がれば経営そのものに影響しますし、翌年も農業を続けていかなければなりません。

ですから、個々の農家が廃棄という判断をすることについて、外野の私がとやかく言うつもりはありません。

ただ、もう少し大きな視点で考えたらどうだろう。

そんなことを考え始めました。

捨てる前に、活かせないだろうか

例えばレタス。

食料として市場に出せないのであれば、それで価値がなくなるのでしょうか。

調べてみると、飼料、バイオガス、肥料、成分抽出、バイオ素材など、食べること以外にもさまざまな利用の可能性があります。

もちろん、すべてが事業として成立するとは思いません。

運搬にも加工にも費用がかかります。

調べた結果、廃棄することが最も合理的という場合もあるでしょう。

それでも私は思います。

捨てるは、最終手段でいいのではないか。

その前に一度、

「これを活かす方法はないだろうか?」

と考える仕組みがあってもいいのではないでしょうか。

それを農家に求めるのは違う

ただし、これを個々の農家に考えてもらうのは違うと思います。

農家は農業のプロです。

飼料、化学、素材、エネルギー、発酵など、まったく違う分野の利用方法まで調べ、新しい事業を立ち上げることを求めるのは現実的ではありません。

だから私は、これはもっと大きな単位で考えることではないかと思いました。

国、県、市、町、村。

そしてJAをはじめ、大学、研究機関、企業などの関係機関。

農業は、私たちが生きていくための「食」を支える産業でもあります。

島国である日本にとって、国内で食料を作る力が弱くなっていくことは、決して軽く考えてよい問題ではないと思います。

長年のデータとAI

そして、ここで今の時代だからこそ使えるものがあります。

データとAIです。

JAをはじめ、行政、研究機関、気象関係などには、農作物に関するさまざまなデータが蓄積されているはずです。

私が重要だと思うのは、昨年、今年という短期間のデータだけではありません。

長年蓄積されてきたデータです。

収穫量、気温、雨量、日照時間、市場価格など、必要となるさまざまなデータを集約し、AIを使って分析する。

すると、

「今年は、この地域で、この作物が余る可能性がある」

ということを、ある程度早い段階で予測できるかもしれません。

余ってしまってから利用方法を探すのではなく、

余る可能性が見えた段階から、次の使い道を探す。

さらにAIを使えば、農業という分野の中だけではなく、素材、化学、エネルギーなど、まったく違う分野の技術や研究まで横断して、新しい利用方法を探すこともできるのではないでしょうか。

挑戦する人を、みんなで支える

そして、可能性が見つかったら、それを実際に試す人が必要です。

だからといって、大手企業が未知の分野へ単独で参入するというのも、なかなか現実的ではないと思います。

そこで私は、別の形があってもいいと思いました。

新しい可能性に挑戦したい人たちに、しっかりプレゼンをしてもらう。

何をやりたいのか。

なぜ可能性があると思うのか。

何が必要なのか。

それを聞いて、

「これは試してみる価値がある」

と納得した企業や人たちが、スポンサーとして参加する。

一社ですべてを背負う必要もありません。

資金を出す企業。

設備を提供する企業。

技術を提供する人。

研究で協力する大学。

それぞれが、自分たちのできることでチャレンジャーを支える。

そんな「未来への挑戦を応援する窓口」が多くの企業や組織にあり、それらがつながっていく。

そして、新しいことへの挑戦を支えることが当たり前になる。

そんな世の中になったら面白いと思います。

成功するとは限りません。

むしろ失敗の方が多いかもしれません。

でも、その失敗もデータとして残せば、次の誰かの挑戦に活かせます。

捨てるは、最終手段

今回、私が考え始めたきっかけは「0度」でした。

そこから農作物の廃棄について考え、データ、AI、研究機関、企業、スポンサー、そしてチャレンジャーへと、私の頭の中ではどんどん話が広がっていきました。

私は専門家ではありませんから、実際にはそんな簡単な話ではないでしょう。

それでも、私の中で一つだけブレないものがあります。

捨てるは、最終手段。

その前に、

捨てるものを、活かす。

どうすれば活かせるのかを考える。

調べる。

違う分野とつなげる。

そして、可能性があれば試してみる。

それでも活かす方法がなければ、そのとき初めて捨てればいい。

今回は農業をきっかけに考えました。

でも、この考え方は農業だけのものではないと思っています。

製造業をはじめ、さまざまな分野で、今は「捨てるもの」とされているものの中に、まだ私たちが気づいていない価値が眠っているのかもしれません。

捨てればゴミ。
活かせば製品。

「0度」から始まった私の妄想は、そんなところまで広がりました。

kimamana-jiyujin-1957

創業50期目、横浜のIT企業ハル・エンジニアリング株式会社、代表取締役会長の平田達彦です。2026年年1月21日付けで、同業IT企業システム二コル株式会社の社外取締役に就任いたしました。ブログにて色々な情報を発信させて頂きます。「自由人として愉しむ」を基本に生きています。多くの人たちと絡んでいきたいと考えていますのでどうぞよろしくお願いいたします。愉しい人と人のネットワークの構築と愉しいものづくりを目指します。 ※ちなみに私のお渡しする名刺の裏側には怪しい鳥が羽ばたくイラストが描いてあります。それは会長ならぬ怪鳥を表しています。日々怪しく飛び回る鳥の如くなのです。(笑)

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