「量子コンピュータの話をしていたら、ぽぽまるに教えられた。」
量子コンピュータという言葉を聞くと、
どうしても難しいものだと思ってしまう。
正直なところ、私もそうだった。
0と1の世界は理解できる。
だが量子となると、どこか曖昧で、
はっきりしないものに感じてしまう。
そんなことを考えていたある日、
ふと目の前にいる“先生”に気づいた。
ぽぽまるである。
朝、気持ちよさそうに寝ているぽぽまるに声をかける。

「散歩、行かないか?」
ぽぽまるは一瞬こちらを見る。
だが、すぐには動かない。
きっと今、ぽぽまるの中には
「散歩に行きたい」
「このままくつろいでいたい」
その両方が同時にあるのだろう。
人間ならどちらかを選ぶ。
だがぽぽまるは違う。
そのどちらも持ったまま、しばらくそこにいる。
そして、ある瞬間。
すっと立ち上がる。
散歩に行くことにしたらしい。

結果は一つ。
だが、その手前には
確かにいくつもの可能性があった。
量子コンピュータの話を聞いたとき、
この場面を思い出した。
散歩から帰ってきたぽぽまる。

満足した様子でくつろいでいる。

「今日はもういいだろう」
そう思っていると、
しばらくしてこちらをじっと見てくる。
「もう一回、行くか?」
ぽぽまるは尻尾を振る。
ついさっき行ったばかりなのに、
もう一度行きたいらしい。

さっきの満足と、今の欲求は別物だ。
ぽぽまるの中では、
過去はもう関係ない。
今、この瞬間の気持ちだけがある。
また新しい可能性が生まれている。
そしてまた、結果は一つになる。
量子コンピュータは難しい。
だが、こうして日常を見ていると、
少しだけ身近に感じることがある。
もしかすると
難しいのは量子ではなく、
それを白黒で理解しようとする
私たちの方なのかもしれない。
