「初めてのTPUフィラメントチャレンジ。」
先週、3Dプリンター用に破損していた部品の作り直しが無事完了した。
そして次なるチャレンジが、以前購入しておいたTPUフィラメントを使った印刷である。

本日、初めて箱からTPUフィラメントを取り出してみて驚いた。
これまで使用していたPLAフィラメントは硬く、まるで針金のような感覚で扱うことができる。しかしTPUは違う。まるでゴムのように柔らかいのだ。
「これは本当に3Dプリンターで使えるのか?」
そう思うほどの柔らかさだった。
まず苦労したのがフィラメントの装着である。
PLAと同じ感覚で扱うと、フィラメントが曲がったり逃げたりして思うようにセットできない。
そこで色々試した結果、PLAフィラメントではケースを縦置きしていたが、TPUフィラメントではケースを横置きにした方が安定するという結論に至った。

もちろん最初から分かっていたわけではない。
印刷を何度も繰り返し、その都度問題点を洗い出しながら、少しずつ落ち着いた配置へと辿り着いたのである。
TPUフィラメントを印刷するためには、3Dプリンター本体だけでなく、スライサーソフトであるFlashPrint側の設定も変更する必要がある。
まず最初に行うのが、使用する樹脂の種類の選択だ。
私の場合、これまでほとんどPLAフィラメントしか使用してこなかったため、設定画面でいつも選択していたのは「PLA」である。
しかし今回は違う。
初めて「TPU」を選択した。
たったそれだけのことなのだが、なぜか少し緊張する。
ソフトウェア上では単なる選択肢の変更に見える。
しかし実際には、ノズル温度、印刷速度、リトラクションなど、様々な設定がTPU向けに切り替わる。
「さて、どんな結果になるのだろう。」
そんな期待と不安が入り混じりながら、人生初のTPU印刷がスタートしたのである。
手始めにということで、小さなサイズの部品の図面を作成し、3Dプリンター用のデータへ変換した。
そしてPLAの時と同じ手順で印刷を開始したのである。
すると驚いたことに、一発目にもかかわらず図面通りの印刷物が完成した。
「おおっ、これは簡単かもしれない。」
そう思ったのも束の間だった。
ここで初めてのアクシデントが発生する。
印刷物をプレートから剥がそうとヘラを差し込んだ瞬間、見事に上下真っ二つに割れてしまったのである。
このような現象はPLAでは一度も経験したことがない。
恐らくではあるが、柔らかいTPUがまだ十分に安定していない状態で無理に剥がそうとしたため、層の境目から裂けるように分離してしまったのだろう。
しかし、不思議なもので落胆よりも先に別の感情が湧いてきた。
「これはなかなか愉しめるぞ。」
である。
PLAとは全く違う性格を持つ素材。
設定を変えれば結果も変わる。
印刷物の形状を変えれば、また違う反応を見せる。
その後は設定を変更したり、印刷する部品を変えたりしながら、TPUという素材の特徴を理解することに専念した。
そもそも、なぜ私がTPUフィラメントに挑戦しようと思ったのか。
それは現在進めているプロジェクトにおいて、この柔らかい素材が最も適していると判断したからである。
実は以前、外部の工房で試作品を製作してもらったことがあった。
その際、PLAなどの硬い素材ではなく、TPUで製作された部品を実際に手に取って確認した結果、
「やはりこの用途にはTPUだな。」
という結論に至ったのである。
柔らかく、しなやかで、多少の変形にも耐える。
今回の用途にはまさに理想的な素材だった。
しかし、実際に自社の3Dプリンターで印刷を始めてみると、見えてきたことがある。
TPUは確かに魅力的な素材だ。
だが、PLAと同じ感覚で扱うことはできない。
フィラメントの供給方法。
印刷時の設定。
サポート材の扱い。
さらには部品そのものの設計方法まで。
PLAでは問題にならなかったことが、TPUでは次々と課題として現れてくるのである。
今、私がどうしてもTPUで印刷したい部品がある。
形状そのものは非常にシンプルだ。
ところが実際に印刷してみると、これがなかなか難しい。
様々な向きで印刷を試してみた。
縦に置いてみたり、横に置いてみたり、角度を変えてみたりもした。
しかし結論としては、どうやらサポート材が必要な構造らしい。
PLAであれば多少無理な形状でも印刷できる場合があるが、TPUは柔らかい素材のため、空中に橋を架けるような部分が苦手なのだ。
そして今日の試験印刷で、もう一つ大きな発見があった。
それは、印刷が終わった直後にプレートから剥がしてはいけないということだ。
サポート材についても同様である。
印刷が終わったからといって、すぐに取り外そうとしてはいけない。
私は今回、出来上がった印刷物を早く確認したくて、つい急いでしまった。
しかしTPUはPLAと違い、柔らかく弾力のある素材である。
まだ十分に安定していない状態で無理に力を加えると、サポート材だけでなく印刷物そのものを傷めてしまう。
実際に今回も、強引に剥がそうとした結果、印刷物の一部を破損させてしまった。
どうやらTPUという素材は、
「印刷が終わったら完成」
ではなく、
「印刷後にしばらく落ち着かせてから触る」
という付き合い方が必要なようだ。
本日の動作試験作業第一弾はここまで。
来週は、これまでPLAで印刷してきた部品をTPUでも印刷してみようと考えている。
同じ形状でも素材が変われば結果は大きく変わる。
柔らかさ。
弾力性。
サポート材との相性。
さらには設計そのものの考え方まで変わってくる。
まだまだ学ぶことは多そうだ。
しかし、こういう試行錯誤は愉しくて仕方がない。
設定を変えながら印刷し、失敗しては原因を考え、また試してみる。
そんなことを繰り返しているうちに、少しずつTPUという素材の性格が見えてくる。
そんな私の様子を見ていた幹部社員が一言。
「良いですね。玩具遊びは楽しそう!」
(な、なぬっ!?)
(そ、そんなに愉しそうかな・・・。)
・・・いや、確かに愉しい。
どうやら来週も、この“玩具遊び”は続くらしい。^^

