5秒でも長い。福祉テックの“見えない壁”を見てきた

横浜開港記念会館で開催された
一般社団法人かながわ福祉総合研究所の設立記念イベントに行ってきた。

まずは、知り合いでもある、前IDEC横浜理事長であり、アトランティス株式会社の牧野取締役にご挨拶。

牧野さんとは、いつも不思議な会話になる。
出展品の話だけでは終わらない。必ず少し脱線する。

それは、お互いに「何か面白いことをやろう」と動いている共通点があるからだと思う。

だから、自然と“ここだけの話”的な話題が出てくる。

そして今回も、こんなやり取りがあった。

「あの展示会にもいましたよね?」
「私も目撃しましたよ」

お互い、別の場所にいたはずなのに、なぜか同じ空気を感じている。

もしかすると、
放電した電波で繋がっているのかもしれない。

そんなことをふと思わせる、不思議な一幕だった。

さて、会場を見て回って最初に感じたこと。

正直に言う。

技術的に「おおっ」と思うものは、ほとんど無かった。

ミリ波レーダー、非接触測定、見守りセンサー。
どれも既に出揃っている。

つまり今は、
技術の時代ではなく、“使われ方”の時代に入っていると感じた。


5秒でも長い

あるブースで「約5秒で健康状態を測定」という製品があった。

従来は10秒。
それが5秒になった。

これは確かに進歩だ。
「いいね」と思ったのも事実だ。

しかし、同時にこうも感じた。

「5秒でも長い」

なぜか。

血圧計は腕を入れて締め付けられる。
“測っている感”がある。

だから待てる。

だが、今回の機器は違う。
ただ画面に映る自分の顔を見ながら、5秒待つ。

何をしているのか分からない時間は、長く感じる。

これは時間の問題ではない。
体験の問題だ。


面白いが、使われるか?

次に目に留まったのが、ベッドの四隅に置く見守りセンサー。

最初に思ったのはこうだ。

「筋トレ用品ですか?」

思わずそう言ってしまい、場が和んだ。

だが、話を聞くと中身はしっかりしている。
在床・離床、動きの変化などを検知できる。

しかも、マットの下に敷くタイプとは違い、
構造的に差別化されている。

これは面白い。

だが同時に感じた。

設定が一人ではやりづらい。

ここが現実だ。

どんなに良い製品でも、
現場で使えなければ意味がない。


本物に出会った瞬間

そして今回、一番印象に残ったのがここだ。

株式会社メティスコムの渡部社長。

技術としてはミリ波レーダー。
今や珍しくはない。

しかし、この方は違った。

自ら施設に入り、何日もかけてデータを取っている。

しかもただ取るだけではない。

観察し、記録し、
“意味のあるデータ”にしている。

夜間の施設の状況。
入居者の行動の変化。

それらをデータとして示し、
改善に導く。

これを見たとき、思った。

「これは最上級の現場営業だ」

製品を売っているのではない。
現場の課題を可視化している。

ここまでやるか。

正直、驚いた。

そして同時に思った。

波長が合う。

こういう人がいるから、現場は変わる。


もう一つの面白さ

別のブースで見かけたのが、ウルトラファインバブル。

どこかで聞いたことのある言葉だ。

最初は半信半疑だった。

「泡で汚れが落ちるのか?」
「やはりゴシゴシ洗ってなんぼでしょう?」

そう思う人も多いだろう。

だが、話を聞くとどうやら違う。

5分で全身を綺麗にする。
しかもシャンプー不要。

さらにここが面白い。

シャンプーが不要になるということは、

備品が減る
在庫管理が楽になる
そして
浴槽の掃除が楽になる

石鹸カスを落とすのは大変だ。

つまりこれは単なる入浴機器ではない。

施設運営全体に効く装置だ。

しかも補助金は4/5。

これは大きい。

結論

今回のイベントを通じて感じたこと。

技術はもう揃っている。

これから問われるのは、

使われるか
続くか
現場にフィットするか

その中で、

入居者の安心・安全と、スタッフの労働改善。

この両方に効くものは、確実に広まる。

技術は進んでいる。
だが、現場はそれだけでは変わらない。

そしてもう一つ。

現場に入る人が、最後は勝つ。

それが、今回一番の学びだった。

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創業50期目、横浜のIT企業ハル・エンジニアリング株式会社、代表取締役会長の平田達彦です。2026年年1月21日付けで、同業IT企業システム二コル株式会社の社外取締役に就任いたしました。ブログにて色々な情報を発信させて頂きます。「自由人として愉しむ」を基本に生きています。多くの人たちと絡んでいきたいと考えていますのでどうぞよろしくお願いいたします。愉しい人と人のネットワークの構築と愉しいものづくりを目指します。

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