価値を先に作れ。コストはあとから追いつく
今日の気づきです。
「1本3000円か…」
最初にそう思いました。
そして次にこう続く。
「最初から予算オーバーしてるじゃん…」
普通なら、この時点でこう判断します。
捨て企画。
でも今回は違いました。
いや、違う。ここがスタートだ。
ものづくりをしていると、必ず出てくる話があります。
「これ、いくらで作れますか?」
でも最近、つくづく思うのです。
この問いの順番、実は逆なんじゃないかと。
今回、帯の試作を考えている中で、こんな会話をしていました。
「これ、1個5000円くらいかかるんだけどさ」
すると相手は考え始めます。
「もう少し下げられないか?」
「別の素材は?」
「構造を変えたらどうか?」
ここから会話が動き出す。
これ、ただの価格の話ではありません。
交渉の入口なんです。
ものづくりの現場では、こういう流れが理想です。
1️⃣ 高い状態を見せる
2️⃣ 技術者が考える
3️⃣ 別の方法が出てくる
4️⃣ 結果としてコストが下がる
逆に、やってはいけないパターンもあります。
最初からこう言ってしまうこと。
「これ、100円で作りたいんです」
この瞬間、思考は止まります。
「無理ですね」で終わるか、
最初から“できない前提”の話になる。
だから私はこう考えています。
最初にコストではなく、価値の上限を作るべきだ
「ここまでやると価値あるよね?」
この一言で、相手の頭が動き始める。
やはり陥りがちなところがあります。
それは――
最初から“予算”を前提にしてしまうこと。
「このくらいの予算だろう」
「これ以上は出せないだろう」
そんな“見えない天井”を、自分で作ってしまう。
そして、その瞬間に起きることは明確です。
・発想が縮む
・挑戦が消える
・無難なものに落ち着く
本来は、
「ここまでやったら価値がある」
から始めるべきなのに、
いつの間にか
「この範囲で収めるにはどうするか?」
に変わってしまう。
でも、本来は逆です。
価値が先で、予算は後。
そして――
偉そうに言っていますが、
私自身が、まさにそこに陥っていました。
気がつけば、
何となく形になったものを手にして
「まあこんなものか」と納得する
今思えば、それは完成ではなく、
妥協の着地だったのかもしれません。
でも今回、気付いたのです。
「順番が違う」と。
そして思考を切り替えました。
価値を先に作る
その瞬間、不思議なことが起きました。
見える景色が変わったのです。
・もっと良くできる
・まだ上がある
・これは武器になる
“収める思考”から、
“広げる思考”へ
未来が変わりました。
最初に出来た試作品を見たとき、
周りの人はきっとこう言うでしょう。
「すごい出来ですね」
そしてその次に、
「これ、いくらするんですか?」
「それじゃ世間に広がりませんよ」
驚きと同時に、少しの失笑。
でも私は、こう答えます。
「いやいや、ここがスタート地点です」
まずは、この品質。
これを絶対に崩さない。
その上でやることは一つ。
半値にする。
どうやって?
考える。
試す。
巻き込む。
素材を変えるか。
構造を変えるか。
製法を変えるか。
多くの人の知恵と、
ものづくりのネットワークを使って。
そして、それが出来たら――
もう一度、半値に挑戦する。
どうでしょう。
こういうチャレンジ。
面白くないですか?
やりがい、ありませんか?
ただ安くするのではない。
価値を守ったまま進化させる。
その先に見えてくるものがある。
・想定より安く
・想定より機能的で
・想定より品質が高いもの
つまり――
想像を超えた結果です。
でもね、相棒。
気付いたんです。
これこそ、ものづくりじゃないか?と。
私はこれまで、大手のものづくりにも数多く携わってきました。
その多くが、
コストありき
もちろん、それも必要です。
でも今、こう思うのです。
順番が違うのではないか?
本来はこうあるべきだ。
まず、価値あるものを作る。
その価値があるからこそ、
・知恵が生まれ
・工夫が集まり
・技術が動く
そして結果として、
コストが下がる。
つまり――
価値を作れる人間だけが、コストを下げることができる。
価値を知らなければ、
削ることしかできない。
でも、価値を知っていれば、
残すべきものが分かる。
この違いは、決定的です。
私はこの日、ようやく見えた気がします。
ものづくりとは、価値を削ることではない。
価値を守り抜きながら、実現していくことだ。
そして――
最初に高く作れる人だけが、最後に安くできる。
ここからが、本当のスタートです。
